禁煙治療について
喫煙は「病気」?
たばこは嗜好品で本人が好きで吸っていると考えられがちですが、喫煙者の約7割は「ニコチン依存症」という病気で、自分の意思ではコントロールできない状態にあるといわれています。
タバコを吸うとどうなるのか?
たばこの煙には、発がん性物質の疑いがあるものが約60種類含まれているといわれています。中でも健康への有害性が大きいのがタール、ニコチン、一酸化炭素です。
< タール >
一般に「やに」といわれている物質で、その中にはベンツピレンなど数多くの発がん物質が含まれています。夕一ルはとくに呼吸器系の疾患やがんと関係が深いと考えられています。
< ニコチン >
タバコを吸うと煙の中のニコチンが肺に入り、それが毛細血管から吸収されて全身に運ばれます。ニコチンは自律神経を刺激して血管を収縮させるので、その結果皮膚の温度が下がるほか、せきやたん、動悸、息切れ、頭痛、食欲不振、吐き気や嘔吐を引き起こします。
< 一酸化炭素 >
喫煙によって一酸化炭素が体内に入ると、酸素より早く赤血球と結合します。しかもいったん結合するとなかなか離れないため、脳をはじめ、全身に運ばれる酸素の量は減ることになります。一酸化炭素によって起こる酸素不足は血管の壁を傷つけます。また、ニコチンの作用による血管収縮で血流量も不足するために、心臓にも負担がかかります。
喫煙が原因で起こる主な疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDとは気管支、細気管支、肺胞の広い範囲に治りにくい慢性の炎症が起こり、空気の出し入れが障害され(気流障害)、肺胞が壊れ、酸素の取り入れ、二酸化炭素の排出(ガス交換)が障害される病気です。
狭心症
狭心症は、心筋が虚血(必要な血液が臓器に供給されていない)に陥り、胸痛や胸部圧迫感などの狭心症状を示す状態です。
心筋梗塞
心筋梗塞は冠動脈の閉塞によって心筋が壊死に陥った状態です。
がん…etc
主な禁煙補助薬
《1.ニコチン製剤》
~ニコチンパッチ~
・ニコチネルTTS(製薬会社:ノバルティス)
薬価 (1枚当たり) |
ニコチン含有量 (1枚当たり) |
|
ニコチネルTTS30 | 401.80円 | 52.5mg |
ニコチネルTTS20 | 374.30円 | 30mg |
ニコチネルTTS10 | 355.80円 | 17.5mg |
通常の用法・用量
1日1回1枚 24時間貼付
最初の4週:ニコチネルTTS30
次の2週 :ニコチネルTTS20
最後の2週:ニコチネルTTS10
~ニコチンガム~
・ニコレット(製薬会社:武田薬品工業株式会社)
1個につきニコチン2mg含有。
使用開始時の1日の使用個数の目安
1回量 | 1日最大使用個数 | 禁煙前の1日の喫煙本数 | 1日の使用個数 |
1個 | 24個 | 20本以下 | 4-6個 |
21-30本 | 6-9個 | ||
31本以上 | 9-12個 |
(参照)武田薬品工業株式会社 http://www.takeda.co.jp/press/article_818.html
ニコチンを吸収させることにより、禁煙時のイライラなどのニコチン離脱症状を和らげることができるお薬です。
《2.ニコチン受容体作動薬》
ニコチンに代わってニコチン受容体に結合することで、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感を軽減します。またそれと同時に、ニコチンに先んじてニコチン受容体を占有することで、再喫煙した場合にも満足感が得られにくくなり、禁煙を持続しやすくなる効果が期待できます。
チャンピックスの服用のしかた
チャンピックスは、飲み始めの1週間に服用量を徐々にふやします。
(参照)ファイザー株式会社 http://sugu-kinen.jp/patient/howtotake.html
薬価(1錠当たり) | |
チャンピックス0.5mg | 132.60円 |
チャンピックス1mh | 237.40円 |
禁煙外来について
「禁煙外来」という言葉をご存じでしょうか?
「禁煙しよう」と決めたら、まず禁煙指導を受けられる病院を受診しましょう。タバコに対する精神的な依存、集中力の低下・イライラなどの離脱症状を引き起こす「ニコチン依存症」などは、医師やお薬の力を借りなければなかなか克服できないものです。
禁煙外来では、医師・薬剤師が協力してあなたを身体・精神的にサポートし、禁煙できるよう導いてくれます。また保険適用も可能です。お気軽にご相談ください。
医師に聞く、禁煙する上で重要なモノ
(参照)日経メディカルオンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200801/505223.html
禁煙にかかわる様々な要因の中で重要なものは何でしょうか。
複数回答では「患者自身の意志・モチベーション」(80.0%)、「ニコチンパッチ」(68.5%)、「家族・友人など近親者の理解・協力」(59.3%)、「医師の指導」(56.9%)、「職場環境」(50.4%)を半数以上が挙げましたが、「最も重要なものを一つだけ」との設問では、「患者自身の意志・モチベーション」を挙げた医師が61.1%と圧倒的に多いという結果になりました。
禁煙を成功させるには止めるという強い意志が不可欠です。